花粉症のシーズンに「あれ、匂いがしない」と感じたら、鼻づまりによる一時的な嗅覚障害の可能性が高いわ。
多くは鼻の通りが良くなれば1〜2週間ほどで自然に戻るけれど、それを超えて長引く場合は別の原因も疑ったほうがいいの。
花粉症で匂いがしなくなるのはなぜ?
結論から言うと、花粉症による嗅覚障害の多くは「気導性(呼吸性)嗅覚障害」と呼ばれるタイプよ。
鼻の中には、匂いを感じ取るセンサーである嗅粘膜(嗅裂)という場所があるの。
花粉症でアレルギー性鼻炎が起こると、鼻の粘膜が腫れて鼻づまりが強くなるわ。
その結果、匂いの分子がこの嗅粘膜まで届かなくなってしまうのね。
つまり、匂いを感じる神経そのものが壊れているわけではないの。
「匂いの入り口が渋滞している」状態というわけよ。
だから鼻の通りが良くなれば、匂いも比較的早く戻ってくることが多いのね。
一方で、注意しておきたいケースもあるわ。
慢性副鼻腔炎(いわゆる蓄膿症)を併発していたり、鼻茸(鼻ポリープ)ができていたりする場合よ。
このときは花粉症だけの時よりも、嗅覚障害が長引きやすい傾向があるの。
こうしたケースでは「嗅神経性(嗅粘膜性)嗅覚障害」に近い状態になっていることもあるから、覚えておいてね。
花粉症以外の原因も?見分け方のポイント
匂いがしない原因は、実は花粉症だけとは限らないの。
耳鼻咽喉科の臨床の場では、嗅覚障害の原因は大きく3つに分類されているわ。
- 気導性(呼吸性)嗅覚障害:花粉症・アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎などで鼻の通りそのものが悪くなるタイプ
- 嗅神経性(嗅粘膜性)嗅覚障害:ウイルス感染や外傷で、匂いを感じる神経細胞そのものが傷つくタイプ
- 中枢性嗅覚障害:脳梗塞や脳腫瘍、頭部外傷などが原因で、頻度は少ないタイプ
このうち、最も多いのは慢性副鼻腔炎だとされているの。
次いで風邪(ウイルス感染)、頭部外傷の順に多いという報告が耳鼻科の臨床データで示されているわ。
花粉症・アレルギー性鼻炎は、これらに次ぐ代表的な原因のひとつという位置づけね。
これは裏を返せば、「匂いがしない=花粉症のせい」と即断しない方がいいということでもあるの。
見分け方としては、次のようなポイントが参考になるわ。
- 鼻づまりやくしゃみ、目のかゆみなど花粉症らしい症状と一緒に匂いが弱くなった → 花粉症由来の可能性が高い
- 鼻づまりはそれほどでもないのに、急に匂いが完全にわからなくなった → ウイルス感染や他の原因も疑ったほうがいい
- 黄色い鼻水や頬の奥の痛みを伴う → 副鼻腔炎が絡んでいる可能性

なお、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)でも嗅覚障害はよく見られる症状として知られているわ。
国内の報告では、感染者のうちおよそ40%程度が嗅覚や味覚の異常を自覚するとされているの。
海外の医学誌に掲載された調査でも、軽症〜中等症の患者417名を対象にした研究で、85.6%に嗅覚障害を認めたという結果が示されているわ(欧州の耳鼻咽喉科系ジャーナルに掲載された、Lechien氏らのチームによる2020年の多施設共同研究よ)。
コロナ由来の嗅覚障害には特徴があるの。
鼻づまりなど他の鼻症状をあまり伴わずに、匂いだけ急に消えるという点が、複数の研究で指摘されているわ。
花粉症の症状と重なる部分もあるからこそ、注意しておきたいポイントがあるの。
「鼻づまりの割に匂いの消え方が急激・完全」というときは、コロナや感冒後の嗅覚障害の可能性も頭に入れておくといいわね。
匂いが戻るまでの目安は何日?
一番気になる「いつ戻るの?」という点について、わたしなりに整理してみるわね。
花粉症による気導性の嗅覚障害は、抗ヒスタミン薬などでアレルギー症状そのものが落ち着けば、比較的短期間で匂いが戻ることが多いとされているの。
鼻づまりが取れるタイミングと嗅覚の回復が連動しやすいのが特徴ね。
一方、ウイルス感染や新型コロナウイルス感染症に伴う嗅覚障害については、もう少し詳しい目安が報告されているわ。
- 嗅覚・味覚障害の60〜80%は2週間以内に改善するという報告が多い
- トルコの研究チームが行った追跡調査(Salcan氏らによる2021年の報告)では、発症10日後の再検査で嗅覚・味覚障害ともに有意な改善が確認された
- 耳鼻咽喉科系の医学誌に掲載されたMartin-Sanz氏らの報告では、嗅覚障害症例のうち85.4%が、症状発現後14日以内に嗅覚機能を回復した
- ただし1か月以上症状が残ることも10〜20%程度あるとされていて、回復のスピードには個人差が大きい
つまり、「2週間」がひとつの大きな節目になるということね。
花粉症の症状コントロールがうまくいっているのに2週間以上匂いが戻らない場合は、単なる鼻づまりだけの問題ではないかもしれないの。
副鼻腔炎やウイルス感染など他の要因が重なっている可能性を考えたほうがいいと思うわ。

病院での検査と治療はどう進む?
嗅覚障害が疑われる場合、耳鼻咽喉科ではまず問診から始まるの。
症状の経過や服用中の薬を確認するところが出発点ね。
そのうえで、次のような検査が行われることが多いわ。
- 鼻咽腔ファイバー(内視鏡)で鼻の中や嗅裂の状態を直接確認
- 基準嗅力検査(T&Tオルファクトメーターなど)で、匂いをどのくらいの濃さで感じ取れるか判定
- 副鼻腔CTで嗅裂周辺の炎症や閉塞の有無を確認
- 必要に応じてMRIで脳や嗅神経の状態をチェック
治療は原因によって変わってくるの。
花粉症やアレルギー性鼻炎が原因の気導性嗅覚障害なら、抗ヒスタミン薬やステロイド点鼻薬でアレルギー症状そのものをコントロールするのが基本ね。
副鼻腔炎を併発している場合は、まず内服治療を行うの。
それでも改善しなければ、手術が検討されることもあるわ。
ウイルス感染などによる嗅神経性の嗅覚障害では、ビタミン剤や漢方薬(当帰芍薬散など)の内服が用いられることがあるの。
亜鉛が不足している場合は、亜鉛製剤が使われることもあるわ。
さらに、リハビリ的な治療法として「嗅覚刺激療法」というものがあるの。
バラ・ユーカリ・レモン・クローブなど4種類の香りを1日2回・10秒程度、12週間かけて嗅ぐという方法よ。
感冒後嗅覚障害や外傷性嗅覚障害で有効性が報告されているの。
焦らずコツコツ続けるタイプの治療法ね。
世間の関心と、この時期に気をつけたいこと
花粉症シーズンになると「匂いがしない」という検索や相談が増えるのは、季節の風物詩とも言える現象なの。
多くの方が「単なる鼻づまりだろう」と自己判断してしまいがちよ。
でも実際には、副鼻腔炎やウイルス感染が隠れているケースもあるから、油断は禁物なの。
特に近年は、新型コロナウイルス感染症の後遺症としての嗅覚障害への関心も高いわ。
耳鼻咽喉科の現場でも、花粉症とコロナ後嗅覚障害を見分ける問診や検査の重要性が繰り返し指摘されているの。
実際、ウイルスの型によっても症状の出方が変わることがわかってきているわ。
オミクロン株の流行期には、嗅覚障害の発生率がデルタ株流行期の52.7%から16.7%へと大きく下がったという報告もあるの。
同じ「コロナ由来の嗅覚障害」でも、時期によって現れ方が変わるというのは、頭に入れておく価値のある情報だと思うわ。
考察:花粉症の「匂いがしない」を軽く見ないでほしい理由
ここからは、リサーチャーとしてのわたしの率直な考えを書かせてね。
花粉症による嗅覚障害は、多くの場合「鼻づまりが治れば自然に戻る」ものだと考えられるわ。
だからこそ、つい軽視されがちなのよね。
「まあそのうち治るでしょ」と放置してしまう方も多いと思うの。
でも個人的には、匂いの変化は体からの大事なサインだと感じているわ。
わたしなりに、注意してほしいポイントを整理してみるわね。
- 花粉症の症状コントロールがうまくいっているのに匂いだけ戻らない → 副鼻腔炎やウイルス感染が隠れているサインかもしれない
- 鼻づまりの割に匂いが急に完全になくなった → コロナ後嗅覚障害など他の原因を考えたい
- 2週間という目安を超えても改善しない → 自己判断で様子を見続けるより、耳鼻咽喉科で嗅裂の状態を確認してもらうのがおすすめ
味覚も一緒に感じにくくなっている場合、実は味覚そのものではなく嗅覚の低下が原因で「風味」がわかりにくくなっているケースも多いとされているの。
食事の楽しみが減ってしまうのは、忙しい毎日にほんの少しの彩りを求めているわたしたちにとって、地味に大きなストレスよね。
だからこそ、匂いの変化には早めに気づいて、必要なら専門家に相談する習慣を持ってほしいと思うの。
今後、花粉症治療そのものの選択肢が増えていけば、嗅覚障害への対応もより個々の原因に合わせて細やかになっていくはずよ。
舌下免疫療法のような体質改善的なアプローチも広がりつつあるの。
毎年つらい花粉症と嗅覚障害に悩まされている方は、対症療法だけでなく根本的な治療についても医師と相談してみる価値があると、わたしは考えているわ。
よくある質問
花粉症で匂いがしなくなるのは自然に治りますか?
多くは気導性の嗅覚障害なので、花粉症の症状が落ち着いて鼻の通りが良くなれば自然に戻ることが多いわ。
ただし2週間以上改善しない場合は、他の原因が隠れていないか一度確認したほうが安心よ。
味もわからなくなったら別の病気ですか?
必ずしもそうとは限らないの。
嗅覚が低下すると「風味」を感じにくくなるため、味覚そのものは正常でも味が薄く感じられることがよくあるわ。
嗅覚障害はどの科を受診すればいいですか?
耳鼻咽喉科を受診するのが基本よ。
内視鏡で嗅裂の状態を直接確認してもらえるから、原因の見極めがしやすいわ。
まとめ
花粉症で匂いがしなくなるのは、鼻づまりによって匂いのセンサーである嗅粘膜まで匂いが届きにくくなる「気導性嗅覚障害」が主な原因よ。
鼻の通りが改善すれば比較的早く匂いは戻ることが多いの。
けれど、2週間以上経っても改善しない場合や、鼻づまりの割に匂いが急激・完全に消えた場合は、副鼻腔炎やウイルス感染など他の原因が隠れている可能性があるわ。
「そのうち治るはず」と自己判断せず、気になる症状が続くときは耳鼻咽喉科で嗅裂の状態や原因をしっかり確認してもらうことが、快適な毎日を取り戻す一番の近道だと思うの。
季節の匂いを感じられる暮らしを、また早く取り戻してね。


