花粉症でも熱っぽさや微熱はあり得ますが、37度台の発熱だけで花粉症と判断せず、感染症を含めて症状の経過を確認してください。
花粉症の典型症状は水のような鼻水、繰り返すくしゃみ、鼻づまり、目のかゆみです。37度台でも咳やのどの痛み、悪寒、強い倦怠感があれば感染症を疑い、息苦しさや意識の異常があれば速やかな対応が必要です。
花粉症で37度の熱が出ることはある?
結論からいうと、花粉症が強いときに微熱を伴う可能性はあります。ただし、発熱は花粉症の中心的な症状ではなく、実際に37度台を測定したときは別の原因も考える必要があります。
厚生労働省が2006年に公開した一般向け資料「的確な花粉症の治療のために」では、花粉症の症状は主に鼻と目に現れる一方、重症の場合には微熱、倦怠感、皮膚のかゆみ、のどの違和感などの全身症状がみられることがあると説明されています。
一方、日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会が作成し、大久保公裕氏が監修した「2021年版 アレルギー性鼻炎ガイド」では、くしゃみ、鼻水、鼻づまりに加え、のどや皮膚のかゆみ、下痢、熱っぽい感じが現れることがあるとされています。
ここで注意したいのは、「熱っぽい感じ」と「体温計で確認した発熱」は同じではないことです。鼻づまりによる睡眠不足や口呼吸、目や鼻の炎症、薬による眠気などでも、体が重い、ほてる、ぼんやりすると感じる場合があります。
厚生労働省の研究班による花粉症解説でも、スギ花粉症では発熱などの全身症状は少ないと説明されています。現在、日本アレルギー学会が運営する「アレルギーポータル」が示す花粉症の主な特徴も、次の症状です。
- 水のようにさらさらした鼻水
- 繰り返し起こるくしゃみ
- 鼻づまり
- 目のかゆみや異物感
- 目の充血や涙
したがって、花粉症がある人に37度台の熱が出た場合、「花粉症でも起こり得る」と考える余地はありますが、「花粉症だから問題ない」と決めつける根拠にはなりません。
なお、37.0〜37.4度を一律に「微熱」とする公的に統一された基準はありません。平熱には個人差があり、体温は測る時刻、運動、入浴、食事、衣服、室温などでも変動します。
37度という数字だけを病名の判定線にするのではなく、普段の平熱との差、測定条件、ほかの症状、時間による変化をまとめて見ることが大切です。
花粉症と感染症はどう見分ける?
症状だけで花粉症と風邪、新型コロナ、インフルエンザを完全に見分けることはできません。鼻と目の症状、全身症状、周囲の感染状況、時間による変化を手がかりにします。
厚生労働省は、新型コロナウイルス感染症の主な症状として発熱、咳、全身倦怠感を挙げ、頭痛、下痢、結膜炎、嗅覚・味覚障害などが現れることもあると説明しています。
感染症でも鼻水や鼻づまりは起こります。反対に、花粉症でも鼻水がのどへ流れることで咳が出たり、のどに違和感が生じたりするため、一つの症状だけでは区別できません。
目安となる違いを整理すると、次のようになります。
| 確認する点 | 花粉症で目立ちやすい傾向 | 感染症を考える材料 |
|---|---|---|
| 鼻水 | 水のようにさらさらしている | 経過とともに粘りが出る場合がある |
| くしゃみ | 連続して何度も出やすい | 出ることはあるが、主症状とは限らない |
| 目 | 強いかゆみ、涙、充血が出やすい | 目のかゆみは比較的目立ちにくい |
| 全身症状 | 通常は鼻や目の症状が中心 | 悪寒、筋肉痛、関節痛、強い倦怠感を伴うことがある |
| 症状の動き | 花粉飛散時期に繰り返し、外出後に悪化しやすい | 花粉への接触と関係なく進行することがある |
| 周囲の状況 | 同居人へ同じ症状が広がることはない | 家族や職場で似た症状が続く場合がある |
この表は診断のためのものではありません。風邪の初期には透明な鼻水が出ることがあり、新型コロナやインフルエンザでも必ず高熱になるとは限らないからです。
特に重要なのは、37度台だから感染症ではないとはいえないことです。厚生労働省が公開してきた新型コロナ診療資料でも、初期症状はインフルエンザや一般的な風邪と似ており、臨床症状だけで区別することは難しいとされています。
次の状況がある場合は、花粉症より感染症を慎重に考える材料が増えます。
- 新たに咳やのどの痛みが始まった
- 悪寒、筋肉痛、関節痛がある
- 普段の花粉症より倦怠感が強い
- 家族や職場、学校で発熱者がいる
- 花粉の少ない室内でも体温が上がる
- 鼻や目の症状が軽いのに発熱が続く
- 時間とともに症状が強くなっている
地域でどの感染症が流行しているかも判断材料になります。新型コロナやインフルエンザなどの発生状況は時期と地域で変わるため、国立健康危機管理研究機構や自治体が公表する最新情報を確認してください。
新型コロナの抗原定性検査キットを使う場合は、国が承認した「体外診断用医薬品」または「第1類医薬品」と表示された製品を選び、説明書どおりの時期と方法で使用します。陰性でも感染を完全に否定できるわけではないため、症状が続く場合は医療機関へ相談しましょう。
花粉症で37度の熱が出たら、まず何をする?
まずは安静にして水分を取り、体温を同じ条件で測り直してください。そのうえで、体温だけではなく、症状と時間の経過を一緒に記録することが役立ちます。
運動、入浴、食事の直後や、厚着をした状態では体温が高めになる場合があります。少し落ち着いてから、同じ体温計を使い、同じ測定部位で測りましょう。
記録しておきたい項目は次のとおりです。
- 体温を測った日時
- 普段の平熱
- 鼻水、くしゃみ、鼻づまりの程度
- 目のかゆみや充血の有無
- 咳、のどの痛み、痰の有無
- 悪寒、頭痛、筋肉痛、倦怠感の有無
- 食事量、水分摂取量、尿の回数
- 服用した薬の名称と時刻
- 家族や周囲に似た症状の人がいるか
この記録は、単なる体調日記ではありません。医療機関では、症状がいつ始まり、どの順番で現れ、どの程度変化したかが診断の重要な材料になります。
たとえば、「午前中は目のかゆみと透明な鼻水だけだったが、夕方から悪寒とのどの痛みが加わり、体温も上がった」と伝えられれば、花粉症だけでは説明しにくい変化を医師が把握しやすくなります。
わたしは、体温を一枚の写真として見るのではなく、症状の推移を含む短い動画として捉えることが大切だと考えています。37.2度という一回の数値より、「いつもの症状と何が違い、どちらへ変化しているか」のほうが受診判断に役立つからです。
市販薬については、商品名を頼りに複数の薬を重ねないでください。花粉症用の抗ヒスタミン薬は鼻水やくしゃみを抑える目的の薬で、一般に解熱薬ではありません。
総合感冒薬、解熱鎮痛薬、鼻炎薬には、同じ解熱鎮痛成分や抗ヒスタミン成分が重複して入っている場合があります。重複すると過量服用や強い眠気などにつながるおそれがあるため、購入時に薬剤師または登録販売者へ現在使っている薬を伝えましょう。
「市販薬を何日使ったら必ず受診」という全員共通の基準はありません。製品ごとに使用期間や相談の目安が異なるため、添付文書を確認し、改善がない、悪化する、説明書に定められた使用期間を超えそうな場合は医師や薬剤師へ相談してください。
妊娠中、授乳中、持病がある人、ほかの処方薬を使っている人、子ども、高齢者は、自己判断で薬を追加しないことが大切です。子どもに大人用の薬を量だけ減らして与えることも避けてください。
37度台でも受診すべき症状と救急の目安は?
37度台でも、症状が悪化する、変わらず続く、日常生活に支障がある場合は医療機関へ相談してください。受診の必要性は、体温の高さだけではなく、呼吸、意識、水分摂取、全身状態で判断します。
総務省消防庁の全国版救急受診ガイド「Q助」も、該当する緊急症状がなくても、症状が悪化した場合、変わらず続く場合、新しい症状が現れた場合には医療機関の受診を考慮するよう案内しています。
早めの受診を考えたいのは、次のような場合です。
- 体温や症状が時間とともに悪化している
- 咳、のどの痛み、悪寒、強い倦怠感がある
- 水分や食事を十分に取れない
- 尿が明らかに少ない
- 強い頭痛や顔面痛がある
- 普段の花粉症とは明らかに症状が違う
- 症状が軽くなった後、再び悪化した
- 市販薬を説明書どおりに使用しても改善しない
- 仕事、家事、睡眠などに大きな支障が出ている
高齢者、乳幼児、妊娠中の人、心臓や肺などに持病がある人、免疫機能に影響する病気や治療がある人は、体温が高くなくても早めに相談してください。新型コロナについても、厚生労働省は乳幼児、高齢者、一定の基礎疾患を持つ人などでは重症化リスクがあるとしています。
次のような症状は、通常の外来受診を待たず、119番への連絡を含めて緊急の対応を検討するサインです。
- 息が苦しく、会話を続けにくい
- 呼吸が明らかに速い、ゼーゼーする
- 唇や顔色が青白い
- 呼びかけへの反応が鈍い、意識がもうろうとしている
- けいれんが起きた
- 顔、唇、舌、のどが急に腫れた
- 全身にじんましんが広がり、呼吸症状を伴う
顔やのどの腫れ、呼吸困難、意識の異常は、重いアレルギー反応であるアナフィラキシーでも起こり得ます。花粉症で37度という相談の範囲を超えるため、ためらわず緊急性を優先してください。
救急車を呼ぶべきか迷う場合は、実施地域であれば救急安心センター「#7119」を利用できます。子どもの夜間・休日の症状は、小児救急電話相談「#8000」が相談先の一つです。利用時間や対象地域は自治体によって異なります。
受診先は、発熱や全身症状、咳やのどの痛みが中心なら内科、鼻づまりや顔面痛が強い場合は耳鼻咽喉科が一つの目安です。発熱があるときは受診方法を指定している医療機関もあるため、来院前に電話や公式案内を確認してください。
なぜ「花粉症で37度」と自己判断しないことが重要?
わたしの考えでは、37度という検索が多い背景には、「高熱ではないから休むべきか迷う」「花粉症の時期なので感染症か判断できない」という生活上の切実さがあります。
仕事や育児を抱えていると、38度を超えるまで様子を見たくなるかもしれません。しかし、37度と38度の間に、花粉症と感染症を分ける明確な境界線はありません。
花粉症が広がる季節にも、風邪、新型コロナ、インフルエンザなどの感染症は起こります。花粉症の人が同時に感染症へかかることもあるため、「鼻水があるから花粉症」「高熱ではないから感染症ではない」という二者択一では捉えられません。
特に注意したいのは、花粉症の薬で鼻水やくしゃみが軽くなり、感染症の初期症状が分かりにくくなる場面です。薬を飲んだ後も発熱、悪寒、のどの痛み、全身倦怠感が残るなら、鼻症状の改善だけで判断しないほうが安全です。
一方で、37度台を一度測っただけで過度に不安になる必要もありません。測定条件を整え、休養と水分補給をしながら、全身状態と症状の変化を確認することが現実的です。
筆者として最も重視したいのは、「何度になったら受診するか」だけでなく、「いつもの自分と何が違うか」を判断軸に加えることです。平熱、症状の始まり、花粉への接触、周囲の感染状況、服薬後の変化を残すことで、医師や薬剤師へ具体的に相談できます。
まとめ
花粉症が重い場合に微熱がみられる可能性はありますが、発熱は典型的な中心症状ではありません。37度台の熱を測ったら、花粉症と決めつけず、咳、のどの痛み、悪寒、全身倦怠感、周囲の感染状況を確認してください。
体温には個人差と日内変動があるため、一回の数値ではなく経過を見ることが大切です。症状が悪化する、改善せず続く、水分が取れない、普段と明らかに違う場合は医療機関へ相談しましょう。
息苦しさ、意識の異常、顔やのどの急な腫れなどがあれば、体温の数字にかかわらず緊急の対応が必要です。
参照した主な資料
- 厚生労働省「的確な花粉症の治療のために」(2006年公開)
- 日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会作成・大久保公裕氏監修「2021年版 アレルギー性鼻炎ガイド」(2021年1月30日発行)
- 一般社団法人日本アレルギー学会「アレルギーポータル・花粉症」
- 厚生労働省「新型コロナウイルス感染症」
- 総務省消防庁「全国版救急受診ガイド『Q助』」
- 日本アレルギー学会「Executive summary: Japanese guidelines for allergic rhinitis 2020」(Allergology International、2023年1月掲載)
資料は2026年9月1日に確認しました。本記事は公的機関と学会の公開資料をもとに、医療資格を持たないライフスタイルライターが一般向けに整理したもので、個別の診断や医師による監修に代わるものではありません。
よくある質問
花粉症だけで37度台の熱が出ることはありますか?
重い花粉症で微熱がみられる可能性はあります。ただし発熱は中心的な症状ではないため、感染症やほかの原因を除外せず、咳、のどの痛み、悪寒、倦怠感なども確認してください。
37度台なら自宅で様子を見てもよいですか?
全身状態がよく、水分を取れ、症状が軽い場合は、安静にして測定条件を整えながら経過を見る選択肢があります。悪化する、改善せず続く、新しい症状が出る場合は医療機関へ相談してください。
花粉症の薬を飲めば熱も下がりますか?
一般的な抗ヒスタミン薬は、鼻水やくしゃみを抑えるための薬で、解熱を目的とした薬ではありません。風邪薬や解熱鎮痛薬との成分重複に注意し、併用前に薬剤師または医師へ確認しましょう。
著者:東雲 朝陽(ライフスタイルライター)


